大阪都構想が見据えているもの①

Osaka光のルネサンス 2010 // 2010.12.20 - 13

大阪市長選、大阪都構想を掲げる橋下さんの勝利で、これから何が行われようとしているのか見ていきます。橋下氏を始めとする陣営は、様々な改革を実行するにあたり、経済成長につなげていこうとしています。日本はいま、不況の中で経済成長が止まっています。経済が停滞し、税金が払えない為に税収も落ちて行き、日本の財政が苦境に陥っていると言う悪循環が続いています。こんな中で新しい市長達が進めていこうとしているのが「水事業」です。

今は府と市が行っているのですがこれを1本化する事で無駄をなくす、効率化をはかると言う見かたももちろんあるのですが、実はもっと先を見据えてているのだそうです。かつて国鉄がJRへと民営化し、サービスも向上しそれに付随した様々なビジネスへと拡大していった例がありますが、水道も民営化すると言うのが狙いであり、次のステップです。

民営化により規模を広げて、1つの大きな事業体となれば、しっかりとした土台、基盤が出来あがりこれをもって世界へ出て行こうという大きなビジョンを掲げています。以前東京水についてこのブログで取りあげましたが、それにづづこうとしています。東京の水道水が売られている、そしてその技術を世界へ拡大する試みは既に行われているのです。

大阪府はこれまでの水事業は全部バラバラに管轄されていました。橋下さんが一つにまとめたのですが、大阪市だけが残っているのだそうです。仮に大阪市もこれに加わり一つになると、今度はその周辺の自治体が自分達の水事業を大阪府にゆだねる所が出て来ると言われています。財政の苦しい周辺の都市は大阪府にしてもらった方がメリットがあるからです。そしてより大きくなった時、次に目指すのが「民営化」そして「世界進出」へと向かいます。

日本では水道をひねればきれいなお水が出てくるのは当たり前ですが、世界的に見れば途上国を中心にまだ整備されていない国や地域がたくさんあります。水道すらない所もたくさんありますが、全てのインフラ事業を自分達の国で賄うのは不可能なため、世界の水道事業を行う民間企業の受け入れを始めている状況にあります。21世紀は水の時代と言われているのはこういう事です。まだまだ水道の無い地域はたくさんあるため需要は十分に見込めるのです。

ここへ大阪府の計画する民営化された水事業が企業として参入する事で私たちにはどの様なメリットがあるのかというと、事業自体の拡大で料金が下げられる可能性も見込め、色々なサービスが生まれる可能性が出てきます。また、民間企業となれば、税金を納めてもらう事になるわけですから、その税収で福祉など他の使い道がひろがります。税金投入側から税金納付側へと回るわけです。大阪でこの様な事が出来れば、他の自治体にもそれにならって日本全体へ波及する可能性が出てきたと言えます。

競争環境下の水道事業??公営事業改革と消費者選択

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体制維新――大阪都 (文春新書)

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